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DC-154  Geyster  「Down on Broadway」

2013年06月30日 23:32

geyster down on broadway




ここ数年でさらに制作活動が活発になってきているフランス・パリに活動拠点を置くAOR音使士Gaël Benyamin(ガエル・ベンヤミン)のユニットGeyster(ガイスター)の新作、通算5作目となる『Down on Broadway』が届いた。1週間ずっとこの作品ばかり聴いてきたが、現状において、Geyster(ガイスター)最高傑作といえるすばらしい作品である。

2011年5月に『Radio Geyster 1977』を発表して半年もたたずに4作目『SUMMERTIME』を発表した。『SUMMERTIME』は自身が影響を受けた80年代の名曲をシンプルなアレンジでカバーする作品で、純然たるオリジナル作品ではないものであった。個人的には半分お遊び的な位置づけとしてあるのだが、今作は再びGaël Benyamin(ガエル・ベンヤミン)のオリジナルの書き下ろしの楽曲で構成された。そういう点では約2年ぶりのGeyster(ガイスター)オリジナル楽曲作品となった。

Gaël Benyamin(ガエル・ベンヤミン)は実態そのものは同じだが名を変えたプロジェクトが複数ある。それを含めれば、2004年にデビューして以降9年で7枚もアルバムをリリースしていることになる。これは極めてハイペースで多作の部類に入るだろう。それでいて、その質は確かなものに仕上がっているのだから恐れ入る。器用なミュージシャンで多くの楽器を使いこなし、録音技術も周知している。このようなタイプはあの全盛期のTodd Rundgren(トッド・ラングレン)を思わせるものだ。

デビュー当時はエレクトロ・ポップミュージックに傾倒するサウンドであったが、作品を重ねるうちに徐々にデジタル感が薄れるようになってきた。そういう意味で本作はこれまでのGeyster(ガイスター)のイメージサウンドを完全に打ち消すものと言えるだろう。回顧的なレトロスペクティヴなサウンドは変わらずだが、よりオーガニックな香りのするサウンドというべきか。トロピカルなメロウさは控えめに、70年代中期を感じさせるロック・ロックンロールを前面に押し出したハードで重いギターを掻き鳴らしながら声を張り上げながら叫ぶスタイルだ。

しかしながら、メロウバラード「Jane」や郷愁感を漂わせる「Reach the Skies」や「Soon」などロックンロール一辺倒ではなく、ヒヤッとするバラードを織り交ぜる。こういったアルバム全体の曲の流れをウマく考えて配列するところにGaël Benyamin(ガエル・ベンヤミン)の音使士としての技量とセンスを感じる。なによりもソングライティングの高さとサウンドクリエイターとして、確信的なその手腕に毎度ながら脱帽する。

触れ込み通り、時折、Paul Mccartney(ポール・マッカートニー)を思わせるタッチを垣間見るのも確かだ。本作は正規輸入盤の他、国内仕様パッケージのほか、LP仕様も存在する。70年代80年代をこよなく愛するGaël Benyamin(ガエル・ベンヤミン)のこだわりがひしひしと感じさせるのは、そのサウンドだけにあらず、最近は髪と髭を伸ばし、ファッションまで当時を思わせるその風貌まで徹底している。


ライヴ・レポート 「OLE BORUD at Cotton Club 2013. 6.21.fri & 6.22.sat」

2013年06月30日 21:38

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21世紀・新世代AORと言われる現代の北欧AOR旋風の中で、いま最も注目と期待を背負っている人物Ole Bourd(オーレ・ブールード)の待望の初来日公演が、東京丸の内にあるコットンクラブで行われた。Ole Bourd(オーレ・ブールード)のライブはYoutubeなどで拝見することができるが、その生演奏から繰り出される音からほとばしるスリル感に満ちた緊張感とグルーヴから、このライヴは是非とも見たいと思っていた。それが思いのほか早く実現して心躍る思いで会場に向かった。

今回の公演は東京のみ2日間で1st、2nd の計4回。コットンクラブはGino Vanneli(ジノ・バネリ)のライヴ以来で久しぶりである。料金も比較的良心的といえよう。ざっと見渡して、ほぼ満員完売御礼に近かったのではないだろうか。30代前後の男女が多かったような気もするが、若い女性が1人のお客もいたりした。例によって整理番号を受け取り開演前に軽食とたしなむという習わしの会場であるが、ポテトとビールで時間をつぶした。この間にミュージシャンによっては、楽器の調子を確かめに来る技術スタッフも時折会われたりすることもある。余談になるが、出演ミュージシャン本人が現われることはまずめったにないというか、ほぼないのだが、あのMichael Landau(マイケル・ランドウ)だけは現われるのを目撃したことがあったりする。この目撃情報は別のライヴで複数の人からも同じことを聞いたことがあるので、ちょうどこの後にMichael Landau(マイケル・ランドウ)の公演も同じ場所であったのでどうだったのか気になるところではある。

今回のバンドメンバーは自身を含め以下5名Ole Borud (vo,g), Frode Mangen (key), Markus Lillehaug Johnsen (g), Lars-Erik Dahle (b), Ruben Dalen (ds) でアルバム『Keep Movin』の主要製作メンバーをそのまま連れてきた。北欧でライヴを何度も重ねてきただけあってバンドメンバーの息は合っているといえた。Ole Borud (vo,g),は思いのほか小柄Ole Borud (vo,g)であった。拍手の中現われ日本語で「アリガトウゴザイマス」と答えた後、演奏が一気に始まった。『Shakin the Ground』『Keep Movin』の2作から「Rock steady」「Step in my light」「All Because of You」などさらに影響を受けたバンドとしてPage(ペイジス)を挙げ、Page(ペイジス)の『Future Street』から「Chemistry」と「Keep On Movin' 」の2曲を演奏。

最後にアンコールで「City Lights」であっという間の約70分のライヴ。演奏はオリジナルに忠実に演奏され適度にソロの応酬が盛り込まれる。オーディンスは手拍子でリズムをとり、会場は大盛り上がりで立ち上がって踊りだす人もちらほら。躍動感に満ちた演奏とファンキーなグルーヴとメロウなサウンドはまさに予告と期待通りのパフォーマンスだったと言えよう。おそらく、Ole Bourd(オーレ・ブールード)一行も
実りある手ごたえを感じた来日公演だったに違いないと思わせる充実した内容であった。




DC-153 George Benson 「20/20」

2013年06月08日 14:08

GEORGE BENSON




フュージョン・ジャズ・ギターリストの名手であり、名ボーカリストとしても定評のあるGeorge Benson(ジョージ・ベンソン)が、1985年に放ったAORの名作『20/20』である。George Benson(ジョージ・ベンソン)といえば、今でこそ、その印象は違うが1960年代後半からMiles Davis(マイルス・デイヴィス)やHerbie Hancock(ハーヴィー・ハンコック)、Freddie Hubbard(フレディ・ハーバード)といったジャズ畑でギターの研鑽を積み上げトップセッションミュージシャンとして名を上げるジャズ・プレイヤーとしての色が濃かった。当時の彼のプレイスタイルは、ジャズ・ギターリストWes Montgomery(ウェス・モンゴメリー)が確立したオクターブ奏法を発展させたピバップスタイルなフレーズを得意とするものであった。

その後、時代はクロスオーバー・フュージョン全盛期となり、様々なジャンルの垣根を超えたジャズとの融合ミクスチャー・サウンドが本格化し、多くのミュージシャンがこれに迎合した。本作のGeorge Benson(ジョージ・ベンソン)もまたその一人と言えよう。1976年に名匠Tommy LiPuma(トミー・リピューマ)を迎えて『Breezin』を発表し、フュージョンの名作を残した。だが、この時George Benson(ジョージ・ベンソン)が他のミュージシャンと違うのは、卓越したボーカリストやスキャットとしての実力を持ちボーカリストとして歌うことができたことが大きかった。これ以降、ボーカル曲とインストゥルメンタル曲を織り交ぜ、ポップミュージック化をさらに推し進め、取り入れるようになった。プロデューサーにJay Graydon(ジェイ・グレイドン)を起用し、AORミュージックに自身の活動の幅を広げた。甘く・ソウルフルで清涼感のある彼の声質はAORにマッチングするものだった。そのボーカリストの実力を十二分に披露したのがこの『20/20』だ。

プロデューサーは敏腕Russ Titelman(ラス・タイトルマン)。1曲目からデジタル・ポップ全快の「No One Emotion」が始まる。作詞はClif Magness(クリフ・マグネス)、Tom Keane(トム・キーン)、Mark Mueller(マーク・ミュラー)の実力派3人による書き下ろしで、Randy Waldman(ランディー・ウォルドマン)の煌びやかなキーボードワークが冴えわたり、Michael Sembello(マイケル・センベロ)のギター・ソロが唸りを鳴らして駆け巡る。ホーン・セクションはJerry Hey(ジェリー・ヘイ)、Gary Grant(ゲイリー・グラント)バッグボーカルはPatti Austin(パティー・オースティン)ら、で他Dave Weckel(デイヴ・ウェックル)やSteve Ferrone(スティーヴ・フェローン)まで参加する豪華な顔ぶれで制作。続く「Please Don't Walk Away」は参加こそないがSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)とJames Newton Howard(ジェームス・ニュートン・ハワード)との共作、これにはMarcus Miller(マーカス・ミラー)、Richard Tee(リチャード・ティー)他が参加。メロウなバラード「I Just Wanna Hang Around You」が続き、世紀の名曲「Nothing's Gonna Change My Love For You」が収録されている。一度はどこかで聴いたことがある名曲。演奏はBass:Nathan East(ネイザン・イースト)、Drum:Carlos Vega(カルロス・ヴェガ)、Guitar:Paul Jackson(ポール・ジャクソン)、Dann Huff(ダン・ハフ)、この曲のたたみ掛けながら、折り重なってくるエレガントなキーボード・ワークはRobbie Buchanan(ロビー・ブキャナン)によるもの。バックボーカルは翌年デビューで大ブレイクするRichard Marx(リチャード・マークス)を要して完成させている。

思えば、こういう80年代に特徴的な少し大げさでありながら壮大感のあるエレガントなバラード曲というものが昨今の音楽シーンからはいつの間にか現われなくなってしまった。心の琴線に優しく触れるシルクのような名曲は、時代を超えて未来へ聴き続けられていくことだろう。






DC-152 State Cows 「The Second One」

2013年06月01日 02:03

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2010年に北欧から現われた新星AORバンドState Cows(ステイトカウズ)から3年ぶりに新譜が発表された。State Cows(ステイトカウズ)はDC-119 State Cows  「STATE COWS」でも触れたが、Daniel Andersson(ダニエル・アンダーソン): vocals, guitarとStefan Olofsson(ステファン・オロフソン): keyboards, vocals 二人のユニットバンド。彼らのサウンドは1980年代初頭に風靡したAORサウンドにあったメロウネスやパッション、アンビエンスを現代に忠実に継承しながら再現したものといえるだろう。

そういう意味では、State Cows(ステイトカウズ)の音楽は過去のサウンドの焼き直しなのだろうか。確かに、いかにもといったサウンド・タッチが随所に垣間見えることは否めないが、彼らがリスペクトし、思い描いてきた音のユートピアがどんなものなのかが、この作品を聴くとよく分かる。そして、そのユートピアは我々がAORに求めていたあの音そのものであることに気がつくのだ。

 
滝のように叩きはじきながら転調を繰り返すキーボード伴奏は、かつてTOTOのDavid Paich(デヴィッド・ペイチ)やDavid Foster(デヴィッド・フォスター)が多用したリズムパターン・アレンジに良く散見されてきたものであるし、間奏にギターソロを挟み、これをハーモナイズドさせる手法。キーボードとギターソロをユニゾンさせて曲を展開する。

多くを聴いてきた愛好家は、恐らく思わず頷き、聴くにつれてよく塾考されていると感じることだろう。そしてその音の数々から連想されるのは、Pages(ペイジス)やNielsen Pearson (ニールセン・ピアソン)、Steely Dan(スティーリーダン)、Alan Parson Project(アラン・パーソンズ・プロジェクト)、Airplay(エアプレイ)そしてTOTOである。

彼らはかつてSteely Dan(スティーリー・ダン)のトリビュートバンド“2nd Arrangement”でライヴを続けてきただけあり、「I Got Myself Together」や「Center Of The Sun」ではそのあたりを匂わす。特に『Countdown To Ecstasy』(1972) や『The Royal Scam』(1976) の頃のSteely Dan(スティーリー・ダン)だろうか。

全曲でギターソロをフューチャーさせる作りになっているのも本作の特徴で、各楽曲にソロイストを迎い入れてる。前作でも話題に挙がったが、敬愛するJay Graydon(ジェイ・グレイドン)も今回1曲ギターソロを提供している。他、Michael Landau(マイケル・ランドウ)や近年北欧AOR界隈で頻繁に顔を出すPeter Friestedt(ピーター・フリーステッド)、そしてAlan Parsons(アランパーソンズ)との活動で知られるギターリストIan Bairnson(イアン・バリソン)他が参加している。ボーカルではBill Champlin(ビル・チャンプリン)がクレジットされる。
個人的に特に気に入ったのは「I Got Myself Together」だった。ここでのギターソロを弾くIan Bairnson(イアン・バリソン)は、Elliot Randall(エリオット・ランドール)を思わせる。今後の彼らのさらなる成長に期待したい。




DC-151  Lionville  「Lionville Ⅱ」

2013年04月27日 20:42





怒られてしまうが、イタリアのメロディアスロック系のサウンド・アレンジメントはワン・パターンなものが多くてあまり趣向が合わないというか、興味の範囲外なのが正直なところだった。イタリア、ナポリに拠点多くメロディアス系ロックレーベルFrontiers recordsは今や、TOTO(トト)やJOURNEY(ジャーニー)といった往年のBIGバンドをも抱える大手レーベルの一つであるが、それでもAORを謳っていながら、その実イタリア特有のアレンジメントになっていてガッカリしたことも多かった。Frontiers recordsと同系の音楽レーベルでドイツのAvenue Of Aliesも良く知られたところであるが、ここから、好例ともいえるイタリア系のAORロックバンドが出てきた。

Lionville(ライオンヴィル)はイタリア北部の港町Genova (ジェノバ)を拠点とするバンドで、Stefano Lionetti,(ステェファノ・ライオネッティ)を中心とし、TOTOやRichard Marx(リチャード・マークス)、Bad English(バッド・イングリッシュ)といったロマンティックハードネス趣向なAORバンドである。Stefano Lionetti,(ステェファノ・ライオネッティ)自身は作詞・作曲をこなし、リードボーカル、ギターリストを兼務する。
 

地元のクラブを渡り歩き研鑽を積んだStefano Lionetti,(ステェファノ・ライオネッティ)は有志を募りPierpaolo “Zorro” MontiとAlessandro Del Vecchioと共にこのLionville(ライオンヴィル)を結成する。このバンドが一枚飛び抜けたのは、北欧のAOR至宝ともいえるWork Of Art(ウォーク・オブ・アート)のリードボーカルLars Säfsund(ラーズ・サフサンド)を 手繰り寄せてきたことだろう。やはり彼のボーカルがキーとなっていることは疑いがなく、楽曲の質を何段も押し上げていることは間違いなかろう。Lars Säfsund(ラーズ・サフサンド)声域は現代のロックボーカリストの中でも最もversatileなミュージシャンの一人として数えられる。

これはStefano Lionetti,(ステェファノ・ライオネッティ)自身のアイデアによるものだったが、確かに彼のボーカルだけではここまで高声域を凌駕することはできなかった。こうして、スカンジナビアン・ロックとイタリアロックのミクスチャーが生まれた。

 楽曲はStefano Lionetti,(ステェファノ・ライオネッティ)自身の他Robert Säll (ロバート・サール)(Work Of Art)やお馴染みBruce Gaitsch(ブルース・ガイチ)他から楽曲が持ち寄られ、彼らの協力を得て2010年の秋にレコーディングを開始し、2011年にファーストアルバム『Lionville』をリリースして好評を得た。そして翌年2012年には、2作目となる本作『LionvilleⅡ』を発表した。メンバーは1作目とほぼ同じだが、御代Bill Champlin(ビル・チャンプリン)やPeter Friestedt (ピーター・フリーステッド)Sven Larsson (スヴェン・ラーソン) なども参加しているだけでなく、Work Of Art(ウォーク・オブ・アート)らも完全に作曲作りに参加するなどさらに強化されている。1作目以上により一層Work Of Art(ウォーク・オブ・アート)の楽曲テイストに近づいた作風に仕上がった感がある。惜しむらくは、1作目、2作目共に楽曲は申し分ないが、音が硬く録音の音が少し良くないところである。Boy Meets Girl (ボーイ・ミーツ・ガール)の名曲「Waiting For A Star To Fall」のカバーも収録されていて興味深い。この楽曲を歌いきるLars Säfsund(ラーズ・サフサンド)の才覚にはやはり恐れ入るところである。









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