--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

DC-140 Work Of Art 「In Progress」

2011年08月27日 23:57

work of art




「長いことラジオなどを通してポピュラーミュージック音楽と関わってきた人間は、曲がヒットするかどうかの秘密が最初の出だしのわずか数秒のタメに隠されているということを実は知っている。」 

DJであり音楽ライターでもある矢口清治さんが、何かのライナーノーツの中で、そんなことを言っていたことをつい思い出し、なるほどと思ったものである。素人の自分でも書けてしまうんじゃないかとつい勘違いしたくなるほど、内容のない、作品に対してまったく愛を感じられない様な解説文しか書けないような国内盤ライナーが多い中、矢口清治さんが担当する解説文はいつも読み応えがあり好感を持つものばかりで、国内盤を購入するに値する高い価値を付加していたと思う。

多くの場合、洋楽音楽愛好家は海外盤と国内盤のどちらを購入するか選択しなければならないことあるが、価格面や入手日が早い輸入盤に手が伸びることは相当に優位性があることは自明の理である。そんな中、デジタルミュージック配信によるジャケットやCDマテリアルすらも消えた音楽媒体が出現してきた昨今の音楽市場環境の中で、国内盤の持つ優位性とははたして何だろうか。これまで輸入盤対抗策としてボーナストラック収録に頼ってきた国内盤であったけれども、もはやそのボーナストラックすらオンライン・ダウンロードで容易に購入できてしまう始末だ。国内盤はその優位性に相当な危うさを備えているといえるだろう。

ジャケットやケース、ミュージシャンのクレジットや歌詞・解説文など不要だという風潮が幅を利かせ始めたのには、聴き手の音楽に対峙する価値観や所有感の変化による影響もあるが、そんな中で優位性を持たせるにはやはりCDにしかない差別化を図ることしかないだろう。国内盤にある優位性の一つは、まずそのライナーノーツにあると思う。英語が読める人でも、日本語で読みたいと思えるような熱のこもった独自の視点の解説文が書けるライナーノーツを添付することが大事なのではないか。そして、ボーナストラックも含めてその媒体を選択するだけの理由を持たせるために独占的な楽曲を収録すること。ボーナストラックだけが別途オンラインでも購入できるようでは話にならない。

昨今、北欧AOR旋風とも言えるスカンジナビアから続々と出現するミュージシャン達の勢いは留まる事を知らない。もはや21世紀におけるWESTCOAST/AORミュージック発祥の中心舞台は北欧ヨーロッパに完全に移行したと言って間違いなかろう。オンライン・マイスペースにアップロードした作品がインターネット上で話題となり、わずか3曲しか収録していないデモ盤が世界中へと散らばり、イタリアを拠点とするメロディアス・ロック専門Frontier Records(フロンティア・レコーズ)からファースト・フルアルバム「ART OF WORK」がリリースされ、そのクオリティーの高さに世界中のメロディアス・ハードロック愛好家らに大絶賛されたことは記憶に新しい。それから約4年が経過し、待望のセカンド・アルバム「In Progress」が到着した。

オフィシャル・リリース日が告知されてから数カ月、首を長くして待っていたが、欧州に先立って北米を皮切りに海外盤が8月末にリリース解禁のはずであったのだが、どういうわけかここ日本では例外的になのか独占的に一部の店舗で8月中旬に輸入盤を入手することが可能だった。楽曲のアップロードに賛否両論に分かれるインターネット上の動画コミュニティーYOUTUBEでは、リリース前に本作の楽曲がアップロードされ、入手ルートに疑問を呈している海外のリスナーが見受けられた。

多くの期待を背負わされていたWork Of Artであったが、本作「In Progress」と名を得ったセカンドアルバムは、前作同様路線のハイクオリティ・サウンドで固められたメロディアス・ロックアルバムに仕上がっている。もともと楽曲の質が高かった前作と比べてさらにサウンド面でとびぬけた躍進をしているかは判断しかねるところであるが、起伏の激しい独特のメロディーラインをもつ上昇気流に乗ったようなグングンと引き上げていくギター・ソロとドライブ感覚をもつリズム・カッティング・ギターとの使い分けは相変わらず絶妙である。リズムとテンポを微妙に速度を変えながら変則的にコードを変え進むギターラインに加えテンポよい低音ベースやドラムとの複雑な音の縫い目の中を煌びやかにキーボードが音の縫い目を駆け巡っていくスリル感がたまらない。濁りのない透き通ったLars Safsund(ラーズ・サフサンド)の突き上げるようなハイトーンボイスが張り裂けんばかりに全体を覆っている。

メロディアスなメロディーラインをもつ全12曲のほぼすべてがギターのRobert Sall(ロバート・サール)による作詞作曲で構成されており、Robert Sall(ロバート・サール)のメロディ・メーカーとして定評の高い才能は本作でも発揮されていると言えよう。作品全部を聴き終えて、メロディーと歌詞、そして演奏アレンジから察するに、本作に彼らはかなりの時間と吟味と相当な検証を重ねてきたに違いないであろう。殆どの楽曲のイントロデュース・パートにギターかキーボードによる誘導パートが設けられており、意識が音の世界へとズルズルと引きこまれていくことに気づくであろう。ズルズルと引っ張られていく最中に冒頭で述べたライナーノーツの言葉が鮮明に頭をよぎったのであった。



スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://worldtravels.blog83.fc2.com/tb.php/151-1bebbf13
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。