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DC-159  TOTO  「ⅩⅣ」

2015年03月22日 16:45




3/16の午後、友人のノラリさんから突然携帯に一通のメールが届いた。メールを開くと、「ポーカロ!」としか記されていなかった。TOTO9年ぶりの新譜リリースを2日前に控えたこの時期に一体?初めピンと来なかったが、なんとなく嫌な予感がしてネットにアクセスした。TOTOのMike Pocaro(マイク・ポーカロ)氏の訃報の速報だった。

7年前マイクが病に倒れ療養に入って以降、一度解散を宣言したTOTOであったが牽引役のSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)を中心にLive活動を続けていた。TOTOが、新作の製作を始めたという噂を小耳にはさんだのは今から1年前のことだった。最近のSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)は元the Beatles(ビートルズ)のRingo Star All Star band(リンゴ・スター・オールスターバンド)に帯同してワールドツアー忙しくに来日も果たした。

だからTOTOはやはり前作「Falling in between」で最終作になるだろうと思っていたところに新作のリリースだ。しかも、新作にはTOTO3代目ボーカリストJoseph Williams(ジョセフ・ウィリアムス)がリードボーカル/フロントマンとして完全復帰するのだという。Joseph Williams(ジョセフ・ウィリアムス)はTOTO史上最高のヴォーカリストに推す愛好家も多く、私自身もフェイバリットボーカリストの5指に入るJoseph Williams(ジョセフ・ウィリアムス)であることからこれ以上の喜びはなかった。だがそれだけでなく、新譜には今となってはポーカロ3兄弟最後の一人となってしまったSteve Porcaro(スティーヴ・ポーカロ)のみならず、初代ベーシストDavid Hungate(デヴィッド・ハンゲイト)までも復帰し、ライブにも同行するのだという。

ご存じハンゲイトは名作TOTO Ⅳ(1982年)を最後に脱退して以降、実に33年ぶりの参加となるもので、ハンゲイトが抜けたベーシストの後継者として加入したのがMike Pocaro(マイク・ポーカロ)だった。解散を宣言したTOTOがマイクの病がきっかけで再活動を行い、マイクの代役として参加したのがハンゲイトというのは何とも複雑な感情だが、現存するTOTO音楽ファミリー達の絆が再び集結の原動力となり、ここに名作TOTOⅩⅣ(聖剣の絆)を生みだしてくれた。
 

新譜を手にしてから数日、気が付いたら20回ほど通して聴き込んでしまっていた。ここまで統一感と躍動感そして練られたアンサンブル、そしてTOTO独特の懐かしいグルーヴは最近のTOTO(Seventh one以降の作品群では覚えのないものだった。それは、Joseph Williams(ジョセフ・ウィリアムス)がリードボーカルをとっているからそう感じるのか。そうかもしれない。だが何度か聴き返しているうちにドラムの音がJeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ)のグルーヴにどことなく似ているような気がしないでもない。そう感じるようになった。

元々、今作のドラマーはジェフの後継として長年TOTOを支えてきたSimon Phillips(サイモン・フィリップス)が解散を機に脱退を表明したこともあり、だれがドラマーを担うのか注目されていた。世界屈指の技巧集団TOTOのボトムリズムセクションを任せられるドラマー、そんなドラマーは早々いないし、そしてジェフやサイモンの後継となればTOTOが要求する音楽性を理解できる然るべき人選が行われるだろうと。その人選の結果はKeith Carlock(キース・カーロック)だった。

キースは近年のSteely Dan(スティーリーダン)専属ドラマーを務める人物でよく知られる。ダンが来日した際、一度だけだが、キースの演奏姿を眼で見たことがある。手数が多くダイナミックなドラマーという印象だ。これまでドラマーを楽曲によって使い分けてきたSteely Dan(スティーリーダン)だが、唯一の同じドラマーを使い続けているのがKeith Carlock(キース・カーロック)その人。Donald Fagen(ドナルド・フェイゲン)から「彼は何でもこなせると」技術の太鼓判を押され、Steely Dan(スティーリーダン)専属ドラマーというステイタスを持つキースであれば、TOTOの高度な要求もこなせるというものだろう。

本作にはJoseph Williams(ジョセフ・ウィリアムス)、David Hungate(デヴィッド・ハンゲイト)、Steve Porcaro(スティーヴ・ポーカロ)といった元TOTOメンバーの復帰に加え、Michael McDonald(マイケル・マクドナルド)やLenny Castro(レニー・カストロ)、Lee Sklar(リー・スクラー)といったTOTOファミリーとなじみの深かいミュージシャンも参加する。

日本盤ボーナストラックを加えると全12曲のアルバムは、「Running out of time」でSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)の豪快なドライヴィングギターで幕を開ける。Joseph Williams(ジョセフ・ウィリアムス)の声も全盛期を彷彿とさせる張りの良さで爽快に歌い上げる。アンビエントな「Burn」を経て、再びアップテンポでリズミカルな、これぞTOTOのグルーヴサウンドと言わんばかりに息のあったインタープレイが繰り広げられる「Holy War」である。ここではDavid Hungate(デヴィッド・ハンゲイト)とKeith Carlock(キース・カーロック)のボトムリズム隊にSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)のリズムギターのユニゾンがピタリとマッチングし、そこに煌びやかなDavid Paich(デヴィッド・ペイチ)の縦に割るオルガンが小刻みに流れるように進んでいく。リードボーカルはJoseph Williams(ジョセフ・ウィリアムス)。何度も聞きたくなる気持ち良い限りの好トラック。

Steve Lukather(スティーヴ・ルカサー)のソロ作に収録されてそうなやや重厚な「21ST CENTURY blues」、オリエンタルな雰囲気で始まる「Orphan」、Jeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ)に向けたと思われる「Unknown Soldier」では再びブルース調のルカサー節を堪能できる。空が開けて広がっていくかのような「The little things」はSteve Porcaro(スティーヴ・ポーカロ)作詞作曲でリードボーカルも担うバラード。こうしてTOTOが他のバンドと違うのは、飛び抜けた演奏技術以外に、一流の作詞・作曲ができることのみならず、リードボーカルまで取ることができ、あらゆる楽曲にも対応できる素養の広さ、音楽的守備範囲の広さがあることを思い起こす。

そして、本作でも特に評判の良い「CHINATOWN」へとアルバムは続く。「The little things」を境に、David Paich(デヴィッド・ペイチ)色の強いソウルフルで深みのある癒しの世界へと誘っていく。聴くものすべてが雲の中に引き込まれていくような気持ちよさに包まれることだろう。そしてアルバムは壮大なクライマックスとなる「Great Expectations」へと到達する。David Paich(デヴィッド・ペイチ)がゆっくりと囁き静かに始まると思いきや、突然、音の扉が開き、壮大な世界と壮絶なインタープレイが繰り広げられ、初期のTOTOを思わせるコーラスワークや懐かしいメロディとリズムが次々繰り広げられていく、特に4分50秒付近から展開にはニンマリさせられる。まさにTOTO流のプログレッシヴロック的楽曲と言えよう。日本盤に収録されているボーナストラックはSteve Porcaro(スティーヴ・ポーカロ)の楽曲で再び彼がボーカルをとり静かに幕を閉じる。

 

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